ウイスキーの基礎知識〜原料と製法編〜
どうもyuyaです。
普段はお酒とコーヒーが飲めるカレー屋さん
の店長をしています。
今回はウイスキーの基礎知識ということで、そもそもウイスキーとはなんぞやというところを解説していきます。
わりと身近なお酒になったウイスキーですが、何からどうやって作られているのか、についてはあまり知られてないように感じます。
原料や製法の違いで香りや風味が大きく変わるので、その辺を知っていると自分の好みに合うウイスキーに出会いやすくなります。あと違いのわかる自分にうっとりできます。
まあ後者は置いておくとして、何がどうなってるとこんな風味がする、というのを知っているとあまり美味しいと感じられないものに当たるリスクを回避しやすくなります。
最初のうちは何が美味しいのかわからないから、手当たり次第に飲んで色々試してみるのも悪くはないですが、せっかく飲むのであれば好みのものを楽しみたい、と思うのが道理ではないでしょうか。
最序盤は文章だけでは味がわからないので、多少は試す必要がありますが、その中で気に入ったのに近いものを探しやすくなるので、基礎知識として原料と製法を知っておくことをおすすめします。
では前置きはこのくらいにして本題に入ります。
1.ウイスキーの定義
そもそもウイスキーとは、蒸留酒の一種で、大麦、ライ麦、小麦、オート麦、トウモロコシなどの穀物を原料とするお酒です。
アルコールは通常酵素などによる発酵で生成されますが、蒸留はそのアルコール度数を高める作業です。
ウイスキーも例に漏れず、大麦などの穀物類を発酵させた後に蒸留をしています。
そしてここが一番重要ですが、蒸留が完了した後に数年間木の樽で熟成させます。
つまり、
・大麦などの穀物が原料であること
・蒸留していること
・木の樽で熟成させていること
の3点がウイスキーの定義と言えます。
2.原料の違い
穀物類が原料になることは上記の通りですが、使用する穀物や配分などによって大きく風味が異なります。
代表的なものとしては、大麦のみを使用したモルトウイスキー、それ以外の穀物を主原料とするグレーンウイスキー、両者をブレンドしたブレンデッドウイスキーなどがあります。
一般的にモルトウイスキーは重厚な口あたりや芳醇な香気が特徴で、ブランドごとの違いが最も感じられるウイスキーです。お酒を飲み慣れていない人は少々飲みづらさを感じるかもしれません。
一方グレーンウイスキーは口あたりが軽やかで、雑味も少ない反面、香味が乏しいという特徴があり、モルトウイスキーに比べると流通量は少ないです。
最後のブレンデッドウイスキーは風味豊かで飲みやすいという、両者のいいとこ取りをしたウイスキーです。品質と生産量が安定させやすいのもブレンデッドの特徴です。
前回の記事
で紹介した山崎と白州はモルトウイスキー、知多はグレーンウイスキー、竹鶴はブレンデッドウイスキーとなっています。*1
ただし、厳密にいうと竹鶴はモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたものではなく、数種類のモルトウイスキーをブレンドしたものとなっているため、注意が必要です。
区別するために竹鶴のような製法をピュアモルトと呼称していますが、少しややこしいので一度まとめます。
・モルトとグレーンをブレンドしたもの……ブレンデッドウイスキー
なお、ブレンデッドもピュアモルトも複数のウイスキーをブレンドしており、多いものだと数十種類ものウイスキーをブレンドしているものもあります。
ちょっと引くくらいのこだわりですが、それだけ奥が深いとも言えます。
他にもライ麦を主原料としたライウイスキーやトウモロコシを主原料としたコーンウイスキーなんてのもありますが、キリがないのでここら辺で次に行きます。
3.製法の違い
原料の次は製法です。といっても発酵させて蒸留させて熟成させるという一連の流れは変わりませんが、ここでは蒸留方法について解説していきます。
まず蒸留とは、アルコール度数を高める作業と最初に述べましたが、具体的には水とアルコールの沸点の違いを利用し、先に揮発したアルコールを集め、冷却することで濃度の高いアルコールを抽出する作業となっています。
簡単にいうと、お湯を沸かす時に鍋に蓋をしていたら、蓋に水滴がつきますが、あの水滴を集めて冷やすと濃縮されたアルコールが取り出せる、という感じです。
下の画像のような機械でそれを行う場合は、単式蒸留と呼ばれます。
単式蒸留はモルトウイスキーを作るときに行われます。最も伝統的な製法で、品質の安定や大量生産は難しいのですが、蒸溜所ごとの違いが出るため、多くのファンを魅了してやみません。
一度の蒸留ではアルコール度数が上がりきらないため、通常2回ないし3回蒸留を行います。
ちなみにこの機械をポットスチルといいますが、まあ覚えなくていいです。特に問題ないので。
ポットスチルの形状によって抽出具合が変わり、最終的な風味にも影響するのですが、そこまで気にしてる人はプロくらいなのであくまでモルトウイスキーは単式蒸留で作ることだけ覚えてもらえたら十分です。
次に連続式蒸留と呼ばれる方法です。
上の画像の機械はカフェ式連続式蒸留機と呼ばれますが、グレーンウイスキーを作る際に連続式蒸留が行われます。
読んで字のごとく、連続して蒸留を行うため、単式蒸留に比べて早く大量にアルコールを抽出できます。
ただし、単式蒸留よりも原料の風味が残りづらいため、よく言えばクリアなウイスキーとなります。
どちらの方が優れているってことはありませんが、一般的に連続式蒸留で作られたグレーンウイスキーは、ブレンデッドの材料として見られることが多いです。知多とかは普通においしいんですけどね。
ちなみに詳細は次回以降に解説しますが、バーボンでも連続式蒸留を採用しています。バーボンってなんだよ新しいワード出すなよ、という方はちゃんと解説するのでしばしお待ちを。
さて長くなったので改めてまとめます。
・モルトウイスキー……大麦のみを原料とし、単式蒸留で作られる。伝統的で風味も豊かだが、高価になりがち。
・グレーンウイスキー……大麦以外の穀物を主原料とし、連続式蒸留で作られる。早く大量生産できるが個性は弱め。
・ブレンデッドウイスキー……モルトとグレーンのいいとこ取り。飲みやすいのに風味はしっかり。安価なのもあるが、こだわってるのは高い。
・ピュアモルト……モルトとモルトをブレンドしたもの。これも飲みやすいものが多いが、ブレンデッドに比べると流通量は少なめ。
細かいものをあげるとまだまだ解説の余地*2はありますが、初心者向けということで一旦ここら辺で。
ウイスキーは今回解説したように原料と製法によって大きく風味が変わりますが、生産地によってもそれぞれの特徴が出てきます。
すでに嫌になり始めている頃だとは思いますが、生産地ごとの特徴まで理解するとウイスキー選びが楽しくなる*3ので頑張りましょう。
それでは次回、「ウイスキーの基礎知識〜五大生産地別の特徴〜」お楽しみに。